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蛾の美しさ1 -ヒトリガ-

展翅という言葉を聞いて、「あぁあれだな」とわかる方は本当に少ないです。
蝶や蛾のようにはねの大きな昆虫は、このはねをきっちり見せるように
標本を作らねばなりません。このため、虫を溝の空いた桐の板に並べ、
はねを水平に開いて固定した状態で乾燥し、
全てのはねがきちっと開いた形に整える作業・・・これが展翅です。

写真は今日、展翅板からはずしたヒトリガの標本です。
少し傷の多い個体ですが、きっちり展翅できました。
別に標本コレクターではないので、これで充分です。
実は私、とても蝶好きですが、蛾の方はもっと好きだったりします。
話すと非常に長くなりますが、蝶には無い魅力を感じています。
このヒトリガは、秋も深まった頃に登場する蛾ですが、
少し山地に多く見られ、身近な平地ではほとんど見かけません。
夜ともなると結構冷える時期ですので、灯火の近くでひっそり止まっています。

止まる時は前のはねを三角に伏せていて、後のはねはその下にかくれています。
ですから止まった姿をただ見ただけでは、白黒の石垣模様が見えるだけで
地味な蛾に見えるのですが、実は隠れた後ばねがこの色と模様です。
この想像外の展開が蛾の魅力のひとつです。
展翅して全貌を現したその姿は実にサイケデリックではありますが、
同時に「和の美」も感じます。
地味に見えた前バネの色と模様も、柿色の後ばねと合わせるとぐっとモダン!
ダークブルーに輝く蛇の目も効いています。

ヒトリガとは「灯取蛾」、「一人蛾」ではありません。
「飛んで火にいる夏の虫」といいますが、
大昔は電灯なんて無かった訳ですから、ひとの暮らしを照らす微かな灯りでも
虫たちの走光性をかき立てるには充分すぎたのでしょう。
ヒトリガも油の灯す僅かな光に反応して飛び込み、
灯りが消えてしまい「灯を取られた!」なんてこともよくあったのでしょうね。
ひとの暮らしと自然の距離がとても近かった時代の昔語りですね・・・

Hitorigatenshi

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コメント

こんばんは。

じつにきれいな蛾ですね! 何ヒトリですか?

じつは私、ヒトリガはあまり見たことがありません。
見るのはシャクガとヤガばっかり。
来年の抱負として、蛾にも目を向けていきたいと思っています。
ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

投稿: mushizuki | 2007年12月30日 (日) 19時50分

mushizukiさん、こんばんは。またまた知ってるくせに〜、解説を引き出す優秀な局アナみたいなんだから。にくいですね〜。
種名がずばりヒトリガです。いろんなヒトリガ科のなかまをまとめてヒトリガと呼ぶ事もありますから、紛らわしいですよね。アゲハの中のアゲハ、ゲンゴロウの中のゲンゴロウ、テントウムシの中のテントウムシなんかも一緒ですね。こういう種を区別的に「ナミ」からはじめてナミアゲハ、ナミゲンゴロウ、ナミテントウなんて言いますが、そういえばナミヒトリって聞いた事ないです。言うのかなあ?
こちらこそmushizukiさんのシャクガやメイガの知識には敬服しております。特に小さいのは苦手なのでいろいろ教えてください。来年こそ自主的なライトトラップツアーを実現したいですね。

投稿: ぐりお | 2007年12月30日 (日) 23時37分

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