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うちのシリミィズ

毎日こう寒いと温室が恋しくてなりません。
というわけで、今日の話題は南米原産のラン「フラグミペディウム・シリミィ」
(Phragmipedium schlimii)です。

私が初めてランの花にインパクトを受けたのは高校時代に登った
山梨から長野にかけての山で、アツモリソウの花に出会ったときでした。
とても奇異な形でありながら、淡いピンクの可愛らしい色調と草姿の気高さに
「こんな植物があったのか!」と強い衝撃を受けました。
ところがアツモリソウは全国的に盗掘で激減しており、かつ持っていっても
暑い平地では栽培が非常に困難であることを知り、「やはり野におけ・・・」の
代名詞みたいな植物である事も同時に知りました。

それから何年か過ぎて、友人の母上が見せてくれた洋ランの写真集の中に、
南米に自生するというアツモリソウにとてもよく似た花を見つけました。
それが写真の右側の花、当時の名称で
「フラグミペディウム・シリミィ・ウィルコックス」です。
原種「フラグミペディウム・シリミィ」の中から花が特に大きく、
色合いも素晴らしいものを選抜した個体との事でした。

ぜひ自分で育ててみたいと思いましたが、
当時1芽の価格が2万から2.5万円もする文字通りの「高値(峰)の花」。
ようやく買えたのは更に数年後のことでした。
ところがその直後、ウィルコックスは真のシリミィの選抜個体ではなく
交配種であるとのニュースが流れました。
当時から“植物は原種派”の私は、ショックでかなり落ち込みました。
「2万円も払って交配種を買ってしまった」と。
どうもランの世界ではこういうことが時々あるようです。

今なら、基本種のシリミィを沢山見ているので、
ウィルコックスがシリミィであるはずがない、とたやすくわかります。
ちなみに、写真の左の花が原種シリミィ(Phragmipedium schlimii)です。
ウィルコックスよりずっと小さく、花の形も異なります。かわいいでしょ。
しかし、今ではどちらも好きです。
嘘のシリミィ、ウィルコックスは確かに嘘の原種ですが、温帯域の
アツモリソウと同じルーツから、南米の熱帯域に適応したランがあること、
隔離分化の神秘を私に教えてくれた花です。そしてアジアの熱帯域には
同じように分化したパフィオペディルム属もあり、興味は尽きません。

この仲間(=シプリペディウム亜科)は初めて栽培を始めてから
20年以上経った今でも、褪せない魅力で私を虜にし続けているのです。

※文中のウィルコックス(=Phragmipedium schlimii `Wilcox')は
現在では交配種としてフラグミペディウム・カーディナル・ウィルコックス
 (=Phragmipedium Cardinale `Wilcox')の名称で流通しています。

Schlimiis

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