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ある個体群 -ヒタチマイマイ-

ここへきてなんと時期外れな・・・と言われてしまいそうですが、
ちょっとカタツムリのお話を。

写真のカタツムリはヒタチマイマイ、茨城では割合普通に見られる種類ですが
どこにでもたくさん・・・という訳ではなく、
身近で何気なく目にする時はだいたい1匹から数匹程度です。
しかしこのカタツムリ、桑の木がとても好きなようで
大きくて古い桑が何本かある様なところでは大量に見つかる事があります。

この写真のものは石岡市(旧八郷町)の一カ所でまとめて見つかったものです。
そこは数年前に「整備に先立つ生物調査」を行った際に沢山いる事を知り、
ヒタチマイマイ、というとすぐ頭に連想する産地だったのですが、
11月に通りかかった際、工事が始まっていたので立ち寄って様子を見ました。
ヒタチマイマイが沢山見つかった桑の木は全部で十数本あったのですが、
水路沿いの5本ほどが解体抜根されていて、そこらじゅうに粉々につぶされた
ヒタチマイマイが散らばっていました。

この中から、まだ生きている19個体を拾って帰ったのですが、
殻が割れ、かなり重傷を負っているものもいて何とも見るに耐えません。
ネットで知り合ったカタツムリに詳しい方のお話では、
越冬させなくても温度と湿度を保全してやれば通年活動状態で飼育できる
とのことでしたので、何とか温室で元気になってもらおうと思っています。
飼育環境は簡単な滅菌をして極力健全に飼育するつもりですが、
生息地の工事が終了した後、戻せるかどうかは不明です。

ここのヒタチマイマイは殻に通ったラインが大胆なステッチ状に
途切れるタイプと、ラインそのものが見当たらないタイプがいて、
後者にはややピンク掛かった美しい殻のものもいます。
前者はこの産地の特徴かなと思い、
地名をとって勝手に高友タイプと呼んでいます。
我が家の庭や近所で見るヒタチマイマイは、もう少しラインの途切れ幅が狭く、
ラインがぐりぐりと目立つものが多いです。

このように、近い場所でも微妙な違いがあるのは、カタツムリのような
移動能力の低い生物が、地域によって細かく種分化していることを
端的に表した現象です。同じヒタチマイマイでも相当の年数をかけて、
その地に適応している事がわかります。
日本全国的に見るとカタツムリの種類は800種前後いるという事ですが、
絶滅が危惧されている種類も少なくないようですね。
どちらかというと地味で研究者も少なく、スポットの当たらない生物ですが、
地域の地域らしさをよく表した「もの言わぬ語り部」・・・
私も調査の担当がなければ、そこにいた事を知る由もなかったわけで、
こんな風に誰にも知られず存在自体が抹消された生き物たちも
少なくないのだろうな・・・としみじみ思いました。

Hitachimaimai9

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コメント

早速見に来ました!きれいですね。今年は糸魚川市でオゼマイマイを偶然みつけました。ヒタチもバリエーションがあるのですね。怪我してるツムちゃんの里親になってもいいですよ。今実家にいますので、携帯にでもメール下されば♪

投稿: PU−SAN | 2007年12月22日 (土) 15時22分

PU−SAN、さっそくどうもです。
ここに載せたのは一例で、うちの近所や筑波山の麓に行くとまた微妙に違うのがいるですよ。
いつものアドレスが携帯かどうかわからないですが、メール入れておきます。

投稿: ぐりお | 2007年12月22日 (土) 16時41分

こんばんわ、やっと戻りました。
おー大理石調、なるほど火炎彩が太くでてます。で、ほんのりとピンクがさす。綺麗ですな~。
軟体部も両脇線と中央線と両方あるみたい。無帯もいるのかな?
表現形が豊かな個体群みたいですね。
絶えずにちゃんと後に残って欲しい形質ですね。

投稿: kwatt | 2007年12月23日 (日) 19時40分

kwattさんおかえりなさいませ。この個体群で軟体部の無帯型はみてないですね。うちの近所で見た大理石調ではほぼ無帯のがいたような気がするのですが、いいかげんな記憶です(笑)この場所は最終的に、どの程度桑の木が残るか不明なのでちょっと心配です。この時期に工事されると、ヒタチマイマイはもちろんの事、いろんな越冬生物に大打撃です。

投稿: ぐりお | 2007年12月23日 (日) 23時24分

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