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リスキーゾーン -クロスジギンヤンマ-

今日は午後から何とか晴れ、気温も少し高めとなりました。
おかげで庭の篠刈りを少しだけすることが出来ました。
篠(アズマネザサ)は庭を作る前に出来るだけ抜根排除したのですが、
庭の北東と南東の角から侵入してきます。
油断するとすぐに地下茎を数メートル延長して、
その所々から茎を立ち上げて侵略を開始するため、
冬以外の時期、防衛最前線は多忙を極めます。

写真の昆虫はクロスジギンヤンマ、以前ヤゴ(幼虫)をここで紹介しました。
4月になり、オタマジャクシを食べて成長の総仕上げをした彼らが
今、大空への挑戦を次々に行っています。
写真の個体は、いよいよ羽化を開始したところ・・・と言いたいのですが、
観察眼の鋭い方ならお分かりでしょう、
幼虫の殻から抜け出たばかりのトンボの体はもっと白っぽいはず。
そう、彼の羽化も命も、既に終わっています。

何が起こったのかハッキリとはわかりませんが、原因は2つほど考えられます。
一つは、羽化の最中に体(特に胴体)のどこかを破損したため。
もう一つは、羽化に最適な体内の状態が過ぎてしまったため。

前者も後者も、そう珍しい事故ではありません。
幼虫から一回り大きな幼虫へ脱皮するときもリスクはあるのですが、
基本的には同じ構造でひとまわり大きくなるだけです。しかし、
幼虫から成虫への脱皮は体のつくりを劇的に変化させるトランスフォーム。
脱皮の直前にはこの変化に備え、表皮となるキチン質はフニャフニャに軟化し、
内部はドロドロに溶けたようになり、それを循環系を使って移動し、
成虫の体のバランスに再構築します。
この移動は循環系をポンプとして駆動させるので、
表皮が柔らかいにもかかわらず内圧はとても高く(いうなれば高血圧状態)
非常に危険な状態です。

この時表皮のどこかに破損が生じると体液となった体の構成物質が
一気に流失してしまい、羽化はそれ以上進められず程なく死んでしまいます。
羽化の途中で急に強く風が吹いたりしてダメになるケースが少なくないようです。

また、体が軟化する羽化適期はタイムリミットのある一過的な状態でもあり、
タイミングを逃してしまうと羽化の作業よりも体が硬化する方が先行し、
やはり死んでしまうようです。
天候、時間、天敵、ロケーションなど
当人の努力を超えた様々なファクターが羽化の成否を左右するわけですから、
これはもう「運」といってもいいのかも知れません。

だから皆さん、脱皮している昆虫を見かけたら、
どうかやさしく、そっと見守ってあげてくださいね。

Kuroginukasippai

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