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ハッと飛び退く知恵

クワガタを幼虫から飼育している人は今でこそ珍しくありませんが、
ちょっと昔はその飼育法すら確立しておらず、
割合簡単に飼えるカブトムシと違ってクワガタムシを幼虫から育て、
成虫まで持っていくということは大変なことでした。
キノコの菌糸を食べさせて大きくしたり、おがを発酵させた特殊なマットを
使ったりという今日の飼育技術は、
学者の世界で見出されたものではなく愛好家や民間の研究者の成果です。

こういう「好き」に突き動かされている人間のエネルギーと集中力は
相当なもので、私のように広い範囲の生物を知りたい人間には
これらの人々から授かるノウハウはまさに宝物です。

今までにも(というか今現在も)カタツムリだったりランだったり
チョウ、ホタル、カブトエビ、水生植物、球根、樹木・・・
それぞれについて飼育栽培を通して知識・体験を深めるごとに
多くのアマチュア専門家が味方をしてくれました。
その中のひとつに、大好きな昆虫、ゲンゴロウがあります。

写真の昆虫はマルガタゲンゴロウの幼虫。
空気呼吸に上がったところを上から撮影しているため、ピンが甘く、
体の細長いプロポーションも表現できていませんが、お許しを。
口にくわえているのはボウフラ(蚊の幼虫)です。
ゲンゴロウ類の幼虫は全て獰猛な肉食で、英名もウォータータイガー。
注射器になっている大アゴでがっしりと獲物を捕らえ、
消化液を注入して獲物の体内組織を分解し、吸い取ります。(=体外消化)
クモやタガメと同じ摂食方法です。
ちなみにゲンゴロウの成虫は、私たちと同じように
口で齧りとったエサを フツーに体内で消化します。

ゲンゴロウは何種類か累代飼育した経験がありますが、
マルガタゲンゴロウは初挑戦です。
この幼虫の親は、以前ブログ(今年の1月)に紹介した個体です。
ゲンゴロウの幼虫は大きさが適当で動くものなら何にでも反応し、捕らえます。
このため共食いが頻繁に起きるので、1匹ずつ単独飼育するのがポイントですが、
このマルガタゲンゴロウは複数で飼育しても、
エサさえ不足しなければあまり共食いはしないようです。
幼虫を観察しているとお互いが接触して相手の存在を認識した瞬間、
エビのようにピンとワープして共食いを避けます。
これは他の種でも見られる行動ですが、たいがい無事では済みません。
「ハッ!」と気が付いて飛び退く感じです。
おかげで複数をゆったり目の容器で飼育する分には
共食い事故は起こりませんでした。

それでも幼虫ゲンゴロウの飼育には上陸蛹化という難関があり、
このタイミングの見極めや蛹化ケースの作り方にはノウハウがあります。
今回はふとしたきっかけで知り合った秋田県在住のブリーダーの方が
強い味方になってくれました。多謝!おかげで最初の個体が無事蛹になりました。
新成虫誕生の際にはまたアップしようと思います。

Margatagenyochu

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