« クモが見ている! | トップページ | シップの女王様 »

林下の灯火 -キンラン-

やっとやっと晴れて、気持ちよい一日でした。
晴れた割に気温が上がりすぎず、6月のスタートは5月の爽やかさでした。

そんなお天気に誘われて、筑波山麓から石岡(旧八郷町)を抜けて
笠間の先、城里町の方まで一回りしてきました。
あちこちの気になっていたフィールドを一日で一気に覗いてきました。

写真は最初に行った筑波山麓で見つけた野生ラン、キンランです。
本来もう少し早い時期・・・5月中旬ごろによく見られる花ですが、
この株の周囲には他にもまだ数本が咲いていました。
黄色を「金」と名付けるのはよくあることで、
もっと小柄ですが、よく似た白い花を咲かせるギンランやササバギンラン
といった同属の仲間があります。
キンランは松林などにも見られますが、もっとも好むのは
コナラやクヌギを主体とした雑木林の中で、林縁の直射光があたりやすい所より
林内に届く少量の木漏れ日を好みます。
ということは当然ぼうぼうに篠(アズマネザサ)が繁茂している様な林は苦手で、
よく手入れされた明るく風通しのよい林が大好きです。

そういう場所に咲きますので、写真撮影が難しい花でもあります。
林の中を照らす様な美しい黄色がどうも周囲の色に影響されて
緑がかぶってしまう、葉の色を正確に表現しようとすると花がオーバーに、
花に陰影が付くようにすると葉がダークに・・・と行った具合。
晴れより明るい曇りのコンディションの方が色は出しやすいのですが
それだと今度は光量が足りないのでシャッターが遅くなってしまいます。

この花に関しては、私の駄作はともかくとして
プロがとった書籍の写真と比べても、実物の美しさが光っています。
条件の良い雑木林だと結構な個体密度で咲いていますから
外部の明るさと対照的な林の影の中で、
灯火のように点々と咲く様がなかなか感動的です。
もっともこの花は目立つのでたいてい放っておかれることが無く、
見事に咲き誇っている林は、いつも掘りとられて失われます。
持っていってもまず栽培が成功することは無いと思うのですが・・・

というのも、このランは生きていくための栄養を
自らの光合成以外に根の共生菌の働きに依存しているようで
生えている場所が変わると根菌の働きが失われ、数年で消えてしまうためです。
キンランやギンランを栽培するためには、共生菌が生きてゆけるよう、
まず雑木林の土壌を植栽地に復元する必要がありそうです。無理ですね(笑)

林下を照らすこの黄色い灯火を見るたびに、
来年もまた見られますようにと祈る様な気持ちになってしまいます。

Kinran

|

« クモが見ている! | トップページ | シップの女王様 »

フィールドノート」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/487746/21344717

この記事へのトラックバック一覧です: 林下の灯火 -キンラン-:

« クモが見ている! | トップページ | シップの女王様 »