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見納めの風景

写真の風景、とてもお気に入りの場所だったところです。
昨年の今頃はまだコナラ、エノキ、サクラ類、オニグルミなどに覆われ、
森の中を渓流と山道が交差しながら縫って走る場所でした。
このような開けた風景ではなかったのです。

注意してみると、地面の一定の高さまで大きな木が全て排除されています。
そう、ここは近い将来、ダムの底に沈むのです。
画面の右上に電柱が並んでいますが、ここは新しく広い道が通りました。
その道の向こうには、元々の山林が切られずに残されています。
橋のある古くて細い道は今は通行止めになっていて、
広い方の道に車を止めて歩いて降りて来るしかありません。

実はこの一体の自然、凄いんです!
豊かな清流は夏でも水が冷たくて、
ヤマメやカジカガエルがたくさんいるんです。
トンボやチョウも珍しい種類が見られ、
アカショウビンの「キョロロロロ・・・」という声も何度か聞いています。
夜はゲンジボタルの光がゆれる中、ヨタカの声が響きます。

もう少し歩くと、田んぼに向かって下がるのり面があって、
そのわずか300平方メートルほどののり面に
カタクリ、イチリンソウ、ニリンソウ、キクザキイチゲ、アズマイチゲ、
ヤマエンゴサク、ジロボウエンゴサク、ヤマブキソウといった
春のスター植物がいっぺんに咲く場所があったんですよ。
しかしそこも、水没するため耕作放棄されてからはのり面に笹が生い茂り、
春のスターたちはすでに5年程前から殆ど見られなくなりました。

ここを初めて訪れたのは24年前、まだ独身の頃でした。
低山帯に見られる生態系を模式化したかのような見事な自然に
それはそれは大感動でした。
ここに見られる自然は久慈川以北のものとは微妙に違い、
かつては筑波山周辺にもあったであろう自然の姿を織り交ぜています。
県南部では、残念ながらそれは殆ど失われてしまいました。

ここを流れる川は相川といい、もう少し下ると那珂川に合流します。
そのちょっと手前に堤体を設け、大型のダムにするのです。
ダムの目的は主に農業用水の確保だそうですが、
一帯では減反が進められ、今なお地域では減反の割当に苦しんでいます。
那珂川は水量が豊かで、農業用の利水設備も整備が進んでいるのに
ここにまたダムをこしらえる必要性がまるで理解できません。
第一、相川の水量もまた安定しているのです。
なぜなら、この豊かな山林が実に優秀な自然のダムだからです。

ダム化するのはお金さえ掛ければ簡単な事ですが、
水没する事で失われたここの自然を元に戻す事はダムの工事費用の
100倍の予算を設けてもおそらく不可能でしょう。
税金の使い方も土地利用のあり方も非常に疑問を感じてなりません。
こういうことは、この不況の中にあっても
まだそこら中で進められているのです。はて、どうしたものか・・・

Suibotsutiiki

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意見がある人〜ハイ、ぐりお君」カテゴリの記事

コメント

んん〜…んん〜…んん〜…。
ここのダムの必要性………安易なコメントは控えます…。

が、ここの豊かな自然が失われる事は残念で仕方がありません。
もう元には戻らない「見納め」の文字がとても寂しく感じました。

本当に必要なものなのか、この風景を失う以上のものを得られるのか…。
目先の事ではなく、将来の事、子供たち、孫たち、子孫たちの事をよく考えて行って欲しいものです。

投稿: 太郎 | 2009年3月26日 (木) 09時18分

太郎さん、久々のシリアスな(←あ、失礼!)コメント
有り難うございます。
この工事、財政難で一旦は休止になり、見直しが入ったんですけどね。
どこからどういう力が加わったのか、五里押しです。
ここにしかない風景、ここでしか見ていない動植物の多いこと・・・
本当に残念でなりません。

また機会があったら言いたいのですが、日本の様な急峻な地形の国土では
水利用に計画的な管理が必要です。それは、国土交通省の言う通り!
でも、急峻だからこそ、緑のダム=水源涵養林を整備しなければなりません。
ダムのような建設土木には限界があるはずです。
諫早湾もそうですが、広大な土地に力を加え、
その後も莫大な予算を掛けて管理するあり方がいいのかどうか、
そろそろ本気で考え直さないといけないようです。

投稿: ぐりお | 2009年3月26日 (木) 16時35分

久々のシリアス…プッ♪

…ん?………って笑うところじゃなかった!
こらぁー!私だって(たまには)真面目なコメントしますっ(怒)

バカなので難しい事は分からないですけど…これでも一応、大人っすから(笑)

投稿: 太郎 | 2009年3月26日 (木) 19時23分

太郎さん失礼!ちゃあんと本意は伝わってますので(笑)
ところで、大自然の資産的価値がこちらより周知であるそちらでは、
こういう経済本位にすらなっていないくだらない開発は
あまり無いのでしょうね。
北海道は、唯一その手の問題が少ないところですよね。
少なくとも現在は・・・
反対側の沖縄では、本島離島八重山と、
どこに行ってもやはりこの手の問題が起きています。
今まで西表だけはおかまい無しだったのですが、
あそこもそうはいかなくなったようで、残念です。
あの野生の素晴らしさを失う前に、
私もなんとか息子に見せてやりたいのですが・・・

投稿: ぐりお | 2009年3月26日 (木) 22時25分

こんばんは〜。

この場所、私も子どもを遊ばせるのにお世話になりました。水遊びには最高の川でしたね〜

偶然ですが、このダムの最終的な排水口と思われる場所を昨日見かけました。栃木県茂木と茨城県常陸大宮の境あたりでしょうか。旧御前山村の那珂川に水が注がれるようですね。

私も何度かダムの工事風景を通りすがりに見たことがありますが、じつに痛ましいものでした。パワーショベルのひと掻きひと掻きで、計り知れないものが失われるのをひしひしと感じました。

もう、あの川で遊べないのかと思うと寂しい限りです。近い将来、川で撮った子どもの写真とともに、あの冷たく澄んだ水の感触だけが思い出になってしまうのかもしれません。

投稿: mushizuki | 2009年3月27日 (金) 01時20分

やあmushizukiさん、お久しぶりです!
そういえば以前に、mushizukiさんもお子さん連れて
この辺りに行ってるって、おっしゃってましたね。
木という木が伐採されて、あの潤った木陰が嘘のように消えました。
そして、近い将来、曲がりくねった小径も古めかしい橋も
嘘のそうに水底に沈んでしまうのでしょう。

ダムの工事が進んでからも毎年家族でここへ来て、
もう何度か「これで見納めかも」と言っていました。
こんなに荒れ果てても、やっぱりまた夏にはここを訪ねると思います。
そして来年の春も・・・

あんなに沢山のカジカガエルやヒガシカワトンボや
そのほかの多くの動植物に、一体どこへ行けというのでしょうか。
ここで息づいていた自然は何千年・・・いやそれ以上の時を紡いで
今日に至っています。
本当になくしちゃって、いいのかなあ・・・

投稿: ぐりお | 2009年3月27日 (金) 21時38分

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