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戦略的しわしわ

Onibasu_ha

いきなりですが、さて、これはナンでしょう?
しわがいっぱい寄ってますね。
野菜に見えますか?それはハズレです(笑)
分かったあなたは、なかなかの植物通とお見受けしました。

答えはオニバスの葉。
といってもまだ水面に顔を出したばかりの若い葉です。
普通のハスやスイレンではそういうことはありませんが、
オニバスに限って、若い葉はしわくちゃの状態で姿を現します。
オニバスの葉はとても大きくなります。
写真は葉を横向きに見ていますが、画面のほぼ中央を左右に走る
葉脈のしわが葉の中心を通る中央脈。これを境界にして、
上下のしわは大体シンメトリーなのがお分かりになるでしょうか?
実に有機的かつ数学的で、美しい模様だと思います。

この株は大きい植木鉢の底を塞いで水をためて作っていますが、
鉢の直径が・・・だいたい50センチくらいでしょうか。
株が成長すると、1枚の葉がその直径と同じかそれ以上の大きさになります。
すごいでしょ。なぜそんなに大きくなるんでしょう?
それは、おそらく自分が生育水域の水面を占有するためでしょう。

若い葉に見られるこの細かいしわは、
大きく広がる葉がその面積を畳み込んだ、戦略的なタックです。
じつはオニバスが好んで生える水域は、有機質を多量に含んだ底泥がある、
以外に富栄養な水域。そしてこういう水域は、往々にしてウキクサ類など
水面を覆い尽くすタイプの植物が優先します。
オニバスはウキクサの広がる水面を突き破って若い葉をドンと突き出し、
それを水面に横たえると、今度はタックを伸ばしながらウキクサたちを
横に押しのけて自分の居場所を確保するのです。
よく見ると葉の表面のところどころには刺も見えると思います。
葉の裏面にもこれより多くの刺があって、これも他の植物を引っ掛けて
押しのける役目をになっている様に見えます。
他にも刺にはコイなどの魚からの食害を避ける役目もありそうですね。

実に意外なことですが、これほどの巨大な植物体は、
秋にその寿命を終えると地下茎も不定芽も残すことなく消えてしまい、
後に残るのはみつ豆に入っている豆の粒みたいな種子だけです。
しかしながらこの種子、翌年発芽するものはごく一部だけで、
あとは数年から数十年・・・場合によってはそれ以上眠り続け、
発芽のチャンスを個々に待つというスタイル。
このすごい力を秘めた種子を作ることはたやすいことではないでしょうね。

他にもオニバスには面白い話題がいろいろとあります。
また機会があったら触れてみたいと思います。

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栽培と飼育」カテゴリの記事

コメント

どもでーす。
私、一瞬イワタバコかと思っちゃった。
野外でのイワタバコはこちらでは自生してないので知りませんが、
以前、イワタバコを育ててるとき、このような感じで越冬してました。
最初、春になって鉢から顔を出したのを初めて見たときは
すごくビックリしましたよ~。

投稿: こー | 2009年9月 4日 (金) 05時48分

おぉ!イワタバコですか。なるほど、ニアピンかもですね(笑)
あと、キク科やサクラソウ科にも、見られそうです。
あれは水分を絞って凍結を回避しているってことなんでしょうかね。
イワタバコといえば、この間筑波山に登ったとき、
割と上の方の思いがけないところに小さな群落があって驚きました。
確かに岩の間から水が僅かに滲み出しているような環境でしたが・・・
筑波山は単独峰に近い山なのに「君はここまでどうやって来たの?」
って感じです。
来たんじゃなくて、残ったんでしょうかね。

投稿: ぐりお | 2009年9月 4日 (金) 22時14分

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