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買ってはいけない(前編)

Cyptibeticum

やっと気温が戻りましたが、朝は昨日に引き続いて
霜柱も薄氷も見られました。
オオバナエンレイソウが葉っぱまで霜枯れです(泣)

さてさて、今日から3回は以前から問題を感じている案件についての
体験レポートです。テーマは「中国産のアツモリソウ」。
上の写真がその中国産のアツモリソウの一種。種類は微妙なのですが、
おそらくシプリペディウム・チベチクム(Cypripedium tibeticum)
だと思います。
でもひょっとするとよく似た、シプリペディウム・スミスィかも知れません。

このような中国産のアツモリソウは、
もう何年も前から大量に日本に入って来ています。
中国産といっても園芸農業的に生産されたものではなく、
そのほぼ全てが自生地の山からごっそり掘り取られたものです。
中国のフィールドは規模がでかいので
確かにあるところには相当な個体数があるのですが、
壊滅的な打撃を受けている自生地も多いと聞きます。
そしてその行き先の殆どは日本!

で、日本に入って来た株はその後量販流通に乗って
全国の津々浦々で極めて安価に販売されます。
写真の株はよく行く荒川沖のジョイフル○田で求めました。
価格はなんと税込み1290円!
ちょっとした観葉植物よりずっと安い「輸入野生ラン」です。

多くの方がご存知の通り、アツモリソウの仲間は暑さを嫌うため
栽培が大変困難な植物。栽培にはそれなりの知識と技術が必要ですし、
それがあってさえ完全な栽培法は未だ確率されていないのです。
こうして輸入された株の殆どは、死んでしまうでしょう。
そしてまた、来年も大量に入って来るのでしょうね・・・
自生地から株を採り尽くすか、ワシントン条約の付属書に記載されて
国際取引が規制されるまで・・・

こんな事がどうして続くのでしょう?
一番の理由は言うまでもなくこの花の魅力が大きいからでしょうが、
あと二つ・・・すなわち不当と言えるほどの安い価格と枯れてしまう事!
難しいとは分かっていても、この価格なら安易に手が出せるという値ごろ感。
そしてそれは失敗しても深く気に留めることも無く、
欲しければまた手が出せる価格でもあります。

この価格が実現できるのは、
自生地の中国山間部で較差の底辺におかれた人民にとって、
アツモリソウの山採りによる収入は、日本では考えられない位安い報酬でも
極めて効率の良い現金収入になっているからです。
こうした背景のもとで行われる野生個体の採取は、
おそらく相当な勢いでしょう。
いくつもの自生地が壊滅したという話もうなづけるというものです。

ちなみに、我が国のアツモリソウ類は既にレッドデータブックに
記載されるような状況に追い込まれていて、
殆どの自生地は何らかの保護が実施されています。
それでも人気が高く園芸需要のあるアツモリソウ類は、今日では
無菌培養による苗の生産が行われ、自生地に採集圧をかける事なく
生産された良質の苗が流通する様になりました。

しかし、国内で相応の人件費と設備投資の上に成り立つ生産苗の価格は
概ね10000円から45000円ほど(一番高価なのはレブンアツモリソウ)で、
中国から入って来る苗の価格とは桁が違います。
多くの人は、そもそも難しくハイリスクな植物ですから、
万金はたくよりも安い中国産に走るわけです。
自生地の惨劇など想像もできないまま・・・これでいいのか日本!

明日は、中国から入って来た苗は本当に安い買い物なのか、
これらの苗が流通過程で一体どういった扱いを受けているのかについて
ちょこっと触れてみます。
(ところで、写真の株のラベルに注目。なんか気付きません?)

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