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スリッパーズ

Sulippers

今日は趣味の「大好き」のお話です。
だから長くてつまらないかも・・・(笑)

私は植物栽培が好きですが、自然の中から生まれたままの原種が好み。
原種植物の中でもランの原種には特に興味をそそられます。
でも、ランというのはすっごくいろいろありますから
とても全部を相手にする事は出来ません。
で、私の場合特に「これに絞って・・・」と決めたランが、
「スリッパーオーキッド」なんです。

「スリッパーオーキッド」とは、唇弁が袋状の形態を持つランの仲間で、
この袋状の唇弁を履物に例えて「スリッパー・・・」という訳です。
分類学上は、ラン科(FAMILY ORCHIDACEAE)の
シプリペディウム亜科(SUBFAMILY CYPRIPEDIODEAE)になります。
ランの仲間には唇弁が特別な形状や模様を持っているものが大変多いのですが
シプリペディウム亜科のランはみな袋状の唇弁を持っています。
これはよくウツボカズラなどの食虫植物と勘違いされますが、
機能としては同じ様なもので、昆虫を袋の中に誘い込み、
特定の出口ルートに誘導する事で
強制的に受粉させるための形と考えられています。
この目的に沿ってデザインを進化させた結果、昆虫を誘い込む食虫植物の
捕虫嚢によく似てしまったという、自然選択のよい見本ですね。

写真は只今開花中の我が家のスリッパーオーキッズ。
左が北米産のシプリペディウム・パルビフローラム
(Cypripedium parviflorum var.parviflorum)
アメリカキバナアツモリソウという和名を持っています。

中央が東南アジア、タイ産のパフィオペディラム・ニベウム
(Paphiopedilum niveum)
(★マニアの方、スタミが緑色だとかいう突っ込みはNGってことで・・・
                ・・・それはたぶん気のせいです:笑)

右が南米エクアドルの名花、フラグミペディウム・ベッセエ
(Phragmipedium besseae)です。

花だけ見るとみな同じ属の様にも見えますが、それぞれ近縁の別属。
こういうカットって、ありそうで案外無いかもしれませんね。
これ、今の時期にしか撮影できません。なぜなら、
他の2属は花期が厳密に固定されていませんが、
シプリペディウムは普通の栽培ではまず春にしか開花しませんので・・・

で、花の基本的なつくりは3属とも同じなのですが、
葉の様子はそれぞれに大きく異なります。
まずシプリペディウムですが、明るい緑色の葉は薄く柔らかく、
互生する葉と葉の間にはハッキリと茎が確認できます。
これはシプリペディウムが暖温帯〜寒温帯に掛けて自生する植物故の事で、
私たちが身近に目にする多くの宿根草を同様に、冬の間は地上部が枯れて、
地下に形成した芽で越冬休眠します。右の2属とは大きく異なる特徴です。
もっとも茎については、長く伸びて確認できる種が多いのですが、
他の植物と制空権の競争をする必要がないツンドラや低茎湿原の種類には
ほとんど茎が見えず葉だけが折り重なっているような形態のものもあります。

中央のパフィオペディラムと右のフラグミペディウムの葉は共に堅く
通常数年間緑を保っていますが、パフィオペディラムの葉は
緑一色のものばかりでなく、まだら模様が入ったり
裏面に細点を密に持つものがあり、
フラグミペディウムにはそういう葉を持つ種類は存在しません。
そのかわりフラグミペディウムには、シュンランやヘメロカリスの様な
細くてひゅんひゅんとしたフォルムの葉を持つ種類が多く見られます。

シプリペディウム亜科はランの中でも原始的な部類と考えられていて、
共通の祖先を持ちながらそれぞれの分布域に適応した生活史を持つように
分化していったものだと言われています。
3属それぞれに「匍匐茎を伸ばして増殖する」とか「側花弁がねじれて
下垂する」という共通の表現形質もつ種が存在するのも
遠い祖先がつながっていた名残りを感じさせ、興味深いところです。

じつはシプリペディウム亜科には今日紹介した3属以外にも
セレニペディウム、メキシペディウムという2つの属がありますが、
セレニペディウムについては詳細なデータや画像が見当たらず詳細不明、
メキシペディウムは今のところ
ゼロフィティカムという1種類が存在するのみで、
この種については過去何度かこのブログでも掲載しました。
今後、スペースも予算も時間も限られた中で
どれくらい多くのシプリペディウム亜科と接する事ができるか判りませんが、
多分一生興味は尽きないのではないかという気がしています。いつの日か、
それぞれの自生地も訪ねてみたいなあ・・・なんて思うのですけどね(笑)

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栽培と飼育」カテゴリの記事

コメント

どもでーす。
ベッセエいいですね~。
この間、蘭展に行ったときに、某ラン屋さんのブースに赤い花が・・・。
珍しくベッセエがあった~って思って喜び勇んで近づいていったら
交配種でした・・・・・・。
ベッセエってありそうでこちらではなかなかお目にかかれないんですよね~。

投稿: こー | 2010年5月 9日 (日) 00時01分

 こんばんは。なんとか復調してきたくわでん、
またどしどし御邪魔させていただきますです~。
よもや、蘭に書き込みをしてくるとは!って想定外だったんじゃないでしょうか。
身の程知らずで失礼いたしますA^^;)
 フフフ・・・蘭の事、まったくわかりませんが、辞書引きましたです。
ふむふむ、北米産は女神の小船?・・・なんとなく、軽やかそうな姿がそうかも・・・?
タイ産は雪の女神??う~ん、確かに純白だ・・・??
エクアドル産は風の神の王???それとも8の字の王????
・・・燃えるような赤って、王様っぽいよね~・・・花弁、実は8枚なのか????
結局チンプンカンプン(^^;)あってるんでしょうか、これで。
 買ったはいいけど今日のこの日までついぞ日の目を見る事がなかった羅和辞典、
ついにデヴューです。デムの学名の意味が知りたくて買ったんですけど
一ページもめくったことありませんでした。
 ちなみに本日里山遊びも気力で復活、ギンリョウソウみつけてきました。

投稿: くわでん | 2010年5月 9日 (日) 23時51分

こーさんどもです!
そうなんだー。ベッセエが・・・こちらでは
そうですね・・・一時期ほど頻繁にではないですけど、
さがせば見つかる感じだと思うんだけどなあ・・・
あのですね、今回掲載した個体、じつは植え替えして間もないのですが、
次回の植え替えで分ける可能性が大なのですよー。いります?
まあ、時々大失敗するので、
このまま上手く栽培できていればの話ですが・・・(多分大丈夫だと思う)
次回の植え替えは来年の春から初夏じゃないかと思います。
ベッセエって、短いけどせり上がる匍匐枝を出して新芽を作るので、
じつは結構マメな植え替えが必要だったりします。
この個体でもよくて、それまで待てればって話ですが(笑)
(でも、自分で言うのもナンですが色も花型もまあそこそこ及第点でしょ:笑)

投稿: ぐりお | 2010年5月 9日 (日) 23時52分

くわでんさんこんばんは。
ま、まさかランに書き込みして来るとはっっっっ!!(笑)

羅和辞典持ってるんですかー。いいですね、私も購入を何度も考えました。
で、掲載のランの種小名ですが、私も知りませーん(爆)
あ、でもニベウムはそれでいいです。白を象徴したネーミングです。
パルビフローラムは多分、フローラムが「花が」とか「花の」とかいう意味で
パルビがその様子を表しているんじゃないかなー。
船状の花ってことか?そういえば左右からオールを出す小舟に見えて来た(笑)
ベッセエは火を象徴しているってことで納得できそうですが、
花型が算用数字の8をクロスさせた様にもみえますね〜(笑)
あ、ちなみにランは萼片3+花弁3で花弁のうちの1枚が
特殊なつくりの唇弁になっているのが基本ですが、
ランの中でもシプリペディウム亜科の特徴として萼片の2枚が合着して
1枚に見えるので、結果的に唇弁以外には花弁2+顎片2に見えるというのがあります。
種小名の意味は自分でもちゃんと調べないといけないなー・・・宿題!

投稿: ぐりお | 2010年5月10日 (月) 00時10分

どもです。
こちらはようやく桜が満開の一歩手前って感じになりました。
でも寒い日が続いてます。
今日の最高気温は13度くらいかなぁ。

ベッセエ、是非!!よろしくお願いします。
いつもいつも、大変にありがとうございます。
私もまた何かありましたらメールしますね。

投稿: こー | 2010年5月11日 (火) 06時00分

やっと…過ぎ去りましたよ…年々体力的に、精神的に…辛くなります…。

で久しぶりに拝見しましたら♪「スリッパーズ」♪
ほっほぉ〜、私はマニアではないので詳しくはありませんがね、スタミが…いや、疲れ目のようで(爆)

投稿: 太郎 | 2010年5月11日 (火) 22時53分

>こーさん
了解、失敗しない様にしなくちゃあ(笑)
この夏が猛暑になりませんように!(追笑)
(でも、春がいつまでも寒い年って、猛暑になる傾向があるとか・・・汗)


>太郎さん
お久しぶりです。そしてお疲れさまでした!
眼精疲労がだいぶたまっておられる様ですね。
これは大事にせねばいけません(笑)

スリッパーズって、珍しい切り口でしょ。
園芸的には洋ランと山野草で違う世界の植物ですから
あまり並んで写真をとることがないですよね。
なのでちょっとやってみました。
絵的には、なんだか思ったよりカラフルになりましたー(笑)

投稿: ぐりお | 2010年5月12日 (水) 00時47分

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