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気長なノカンゾウ


Nokanzou_up

七夕なのに前年な空模様。時節柄仕方が無い事ですが、
毎年不合理を感じてしまいます。
もともとは旧暦行事だったのですものね。
この日に星空が望めるのは、統計的には10年に2回足らずらしいですね。
まあ、だからこそ望めた年はラッキーですが。

今日はミュージアムパーク茨城県自然博物館の
第55回企画展オープニングセレモニーに出掛けました。
久し振りに多くの皆さんに再開でき、
もう少しゆっくり楽しみたかったのですが、
午後から所用があったため急ぎ足で博物館をあとにしました。残念!
しかし、今回の企画展もなかなか見応えアリです!
内容についてはまたあらためて紹介させていただこうと思います。

さて、今日の花はちょうど梅雨のさなかに開花を迎える
日本のヘメロカリス、ノカンゾウです。
撮影場所は先日湧き水の話題を紹介した小池城址公園。
ここの雑木林の中には
何カ所かにノカンゾウのまとまった群落が点在しています。
元来林縁や道端、土手などで多く見かけるノカンゾウが
雑木林内にまとまっているというのはちょっと意外な印象もありますが
この森ではパッチ状のまとまった群落があるのです。

でも、暗い林下ですからほとんど開花はしません。
明るめの環境が好きな植物なので当然なのですが、
暗い環境では開花できない分、一生懸命株数を増やす方に
エネルギーを費やすので、結果的に見事な円形の群落に発達する訳です。
多年草(宿根草)の多くは、種子繁殖と栄養増殖の両刀使いですが、
植物種によってそのどちらに重きを置くかは異なります。
カワラナデシコのように株の寿命が数年と比較的短いため、
栄養増殖は見込めないものの
実生発芽による飛び火的発生が多く見られる種もあれば、
エビネの様に実生発芽は宝くじみたいな低い確率でも
根茎がしっかりと長年残る種類もあります。

ノカンゾウはやや栄養増殖寄りに見えますが、
実生の発芽率もさほど悪くない植物です。
しかし花を咲かせられなければ当然種子による繁殖は見込めないので、
芳しくない環境下ではひたすら栄養増殖に頼っている様です。
ところが、こうして暗い環境に耐えている雑木林のノカンゾウ群落に
やがてスポットが当たる瞬間がやって来ます。
雑木林の伐採による萌芽更新です。
健全に人の手が入っている雑木林では、エリアを区切って
一定の期間で萌芽更新のための伐採が行われます。
この時、それまで暗い林下で耐え忍んでいたノカンゾウ群落に
本来の明るい生育環境がもたらされる訳です。

一般に雑木林の萌芽更新は15年から20年の間隔で行われます。
その間、ノカンゾウはじっと栄養増殖で貧弱ながらも株数を殖し、
人の手が入る瞬間を待ち続ける・・・
なんとも気長な姿勢ですが、これが雑木林という環境で
彼等が人と共存するために見いだした「折り合い」なのでしょう。

小池城址の森を手入れして下さっているいばらき森林クラブの方と、
以前「この森の伐採の規模と順序はどうすべきか」
という話をした事があります。
その時は思いつかなかったのですが、
考えてみればノカンゾウのパッチの分布で
伐採規模の区画を考えればいいのかもしれません。
だって一つ一つのノカンゾウ群落が、いずれ必ず訪れる筈の
手入れの順番待ちをしているのですから。
それは長い年月にわたって昔の人がこの森をどう管理していたかを
教えてくれる、生きた指標のようなものなのかも知れませんね。

Nokanzou_gunraku

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