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太短い

Tsumugata1106

 

カタツムリを累代飼育していると色々な事に気付くのですが、

彼等にとって湿り気と同じ位通気性が重要である事を

これまで何度かこのブログでも書いてきました。

そして、通気性が悪い環境で起きる事とよく似た現象が

限られたスペース内でたくさんの個体数を飼育した時にも

起きる事がわかって来ました。

これらの事をちょっと乱暴・・・というか短絡的に解釈すると、

多くの陸産貝類は、要するに蒸れて不衛生となった環境がことのほか苦手で、

不衛生な環境によるストレスは正常な生育に支障をきたし、

幼貝などでは個体の死亡率も格段に高まる・・・と言えそうなのです。

ではその支障とはどういったものかというと、

おもに2つ。

●からがきれいに成長しない

●小型の成貝になる

です。

カタツムリにもいろいろな種類がいて、支障の出やすさにも違いがあります。

どうも樹上性の強い種類は上記のストレスによる支障が特に出やすい様です。

一方キセルガイの仲間は通気の悪さや個体密度が高いことに対し、

割合強いように思われます。

それでもいくつかの種類で高密度飼育を行ってみたところ、

ある共通の現象が見られました。

殻が太短い成貝になるのです。

上の写真は野外で採取したツムガタモドキギセル。

このキセルガイはすらりとした美しくスマートな殻が特徴です。

これを同じ規格のケース(200×130×150mm)で

個体密度をを変えて幼貝から飼育してみたところ、

下のような結果が得られました。

 
Tsumugata1412
 

左は1ケース10個体で飼育したもの。

もう古い長生き個体なので殻皮が無くなっていますが、

殻のプロポーション自体は上の野生個体とさほど変わりません。

中央は1ケース30個体で飼育したもの。

殻長が短くなり、殻幅がやや増しています。

右は1ケース60個体で飼育したもの。

さすがにケース内は貝でゴッチャリした様子で

見ていても息が詰まりそうでした。殻長が短く、殻幅が増す傾向は

一層強くなっていますね。そして、この条件での飼育では

幼貝の頃の殻皮が失われ、どの個体も殻の先端側の3~5層程度が

白くなっていました。

この結果は、キセルガイが高密度環境に対して見せた

「省スペース」の答えなのかも知れません。

螺層数を見れば判る通り、巻きも減らしています。

その分、成貝になるスピードも速かったです。

遺伝的な影響と見えるかもしれませんが、この3つのケースの貝は

同じ親から産まれた個体です。

(生まれた年は左が2011年9月、中央と右が2013年5月です)

なので、この殻形の違いはおそらく高密度飼育という

後天的な要因で決定づけられたものと考えています。

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かたつむり」カテゴリの記事

コメント

環境の違いでこんなに個体変異が激しいとは驚きです。
一見別種のように見えますね。

投稿: yana | 2014年12月31日 (水) 01時19分

yanaさん明けましておめでとうございます!
年末にコメ下さったのにお返事がすっかり遅くなってすみませんでした。
本年もどうぞよろしくお願いします。

キセルに関しては書いた通りの傾向がいろいろな種類で確認できました。
すべての種に言えることではないのかもしれませんが、
とても興味深く感じました。
ほんと、経過を見ていなかったらまるで別種に見えますね。

補足的な証明として、今年はこの太短くなった個体をゆったり飼育して、
次の世代を元のフォルムに戻す実験をしてみます。

投稿: ぐりお | 2015年1月 8日 (木) 00時12分

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