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さらに埋もれる谷

Chaurokotake

 

少し前に東京西部にある谷の動植物調査の話題を掲載しましたが、

その際にも触れた通り、そこは既に30年程前に

建設廃土の埋め立てによって生じた人為的な谷地形でした。

こういう場所では脈絡の無い場所から運んできた来た土を

特に上下関係を気にする事も無く、搬入順に埋め立てて行くので

自然の地史的な流れでは生じない植生や生態系が存在します。

一見すると樹々は20~30メートルに育って森を形成し、

下草もそれなりに生い茂っているのですが、

その種類の構成を調べて行くとなんか不自然・・・

調査リストをまとめていても、

どこにでも出現するような普通種に欠けが多く、

内陸の山すそなのに海浜性のものがひょっこり顔を出したりしています。

それでもこれからもっと長い時間を掛けながら

より適材適所な植生に移行して行くのでしょうけど、

土壌の不自然さはいろいろな形で長期的に影響するようです。

一番ショックだったのは、谷底からしぼれ出す冷たく透明な湧き水が

じつは汚れているという事。

普通、地下2メートルで表土腐植層の栄養の影響はほとんど無くなり、

地下5メートルで細菌は地上の数%にまで減少すると言われていますが

栄養物が地下深くに埋もれたり、地下に不自然な空隙が出来たりする

人為的な廃土埋設処分場では、こういう自然界の常識が通用しません。

湧き出た直後から藍藻や水綿が生育する様子を見ると、

「人間は恐ろしく大それた事をしているよなあ・・・」という気になります。

写真はその湧き水の畔に倒れたコナラの朽ち木に育つ

チャウロコタケ(だと思う:笑)。

ウロコの隙間にはたくさんのヒメデオキノコムシがいました。

人工の谷にも、こうして枯れ木を土に還す生命の営みが見られますが、

調査の後、いずれはここも更なる廃土に埋もれ、

コナラの朽ち木もキノコも虫たちも、普通なら存在しない深さに

使われない栄養物として閉じ込められることでしょう。

こうした人為的な改変は

何百年後、何千年後に何をもたらすのでしょう。

山も川も浜も湖も、今だけの事情や都合でいじくり過ぎてはいないのか、

う~ん・・・と考え込んでしまうぐりおでした。

 

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