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軟体という難題

Amano_shoukakan

 

少し前からカタツムリの解剖図にチャレンジしているのですが、

資料が少ない上に表現上の難しさもあって、めっちゃ苦戦しています。

一番難しいのが、彼等が軟体動物であるという事。

言ってみれば、決まった形が無いんです。そこがじつに難しい!

見慣れた外観はこうしているところだからこんな風に・・・と

描けるのですが、その時内部がどうなっているかとなると

なんだか確かめようが無くて、もう想像ばかりの世界です。

それでも伸びている時は伸びているなりに、

縮んでいる時は縮んでいるなりに、

内部器官同士がどのような位置関係にあるかぐらいは把握したい・・・

そこで四苦八苦しながらの試行錯誤が続いています。

上の画像は消化管の形状を把握するために撮影したものです。

口から進んで殻の内部に入り、

腎臓の裏側に潜るところまではわかっていたのですが、

そこから先がどうにも不明確でしたが、この撮影でやっと確認できました。

じつはこの撮影に先立ち、千葉中央博のK先生から

「ニンジンを食べさせて透過光でみたら消化管がわかるのでは」という

アドバイスをいただいていました。

なるほど、これはナイスなアイデアだと早速実験してみたのですが、

そこそこサイズの幼貝だと軟体部だけの部分では上手く見えるものの

消化管が殻に入ると殻の厚みで見づらくなり、まだ殻の極薄い稚貝だと、

殻の部分は透視できるものの、今度は食べるニンジンが少量過ぎて

ちゃんと色が付いてくれませんでした。

ならばと逆転の発想で色の濃いものではなく、

真っ白なカルシウムチョークを食べさせてみたところ、

人間のバリウム検査みたいに案外上手く行きました。

殻が最も無色透明に近いアマノヤマタカマイマイの稚貝が

ちょうど手元にいたのもラッキーでした。

画像の黄色い矢印は、消化管が腎臓の裏側を通り抜けて殻底部よりから

せり上がって来る部分、ピンクの矢印は肝臓に達した消化管が

Uターンして肛門方向へ向かう部分です。

これで、消化管がどの部分でどういう風に方向転換しているのかが判明。

一方下の画像はクマドリヤマタカマイマイ。

いつも飼育ケースの掃除の際には新鮮な井戸水に浸けて水浴させるのですが、

その際、光線の具合次第で表面の凹凸が水で相殺され、

軟体内部の様子が垣間見える事がありました。

あらためて観察して見ると、解剖で開いた時よりもずっと自然なフォルムで

生殖腺の一部が見えている事を確認。

黄色い矢印は鞭状器と呼ばれる部分で、

赤い矢印は陰茎付属肢と呼ばれる部分。

どちらも軟体部にどのようにおさまっているのかが

いまいちハッキリしなかったのですが、これで大体把握できました。

特に陰茎付属肢は、消化管や眼や頭部の索引筋を螺旋状にとりまいて

おさまっているのが分かります。

ちなみに黄緑色の矢印は引っ込んだ左眼と視神経、そしてその索引筋です。

この部分は黒いので、眼が体のどのあたりまで引っ込んでいるのか

よく分かりますね。

対して右目は眼柄の付け根あたりまでしか引っ込めていない事も分かります。

こうして本当にひとつひとつ理解しています。

なので実際に解剖図のラフが組み上がるまでには、

もう少し時間が掛かりそう・・・まだまだ長い道のりです。

 

Kumadori_nantai

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コメント

 こんにちは。当地朝のうちの霧が晴れ、蒸し暑い夏の一日になりました。
そちらはいかがでしょうか。
 ところで・・・すごいですね!
内蔵されている各器官がはっきりわかります。
ふ~ん、こうなってるんですか・・・。
とっても勉強になりました。
通り一遍じゃない解剖図、完成が待ち遠しいです。
ぐりおさんの探究心の爪の垢でも煎じて飲ませていただきたいくわでんでした。もっともっといろんな事を教えていただきたいです。
 そうそう、里子ちゃんたち皆さんお元気にしてますので、どうぞご安心を。

投稿: くわでん | 2015年7月 9日 (木) 16時28分

くわでんさんこんにちは。
今日(7/10)はこちらも午後から久し振りに晴れました。
お日様まぶしいです。

カタツムリの体は僅かなスペースにいろんな器官がぎっしり詰まっていて
ビルの天井裏の配線みたいなことになっています。
しかもその一つ一つがシリコンゴムみたいに自由変形するんですから
もうなにが何だかエラいこっちゃ(笑)・・・なかなか理解できません。

里子たちも幸せな日々を送っているようで有り難く思います。
いよいよ夏本番、できればその前に野外ツムリウムに目処を付けたかったのですが
なかなか思うように動けていません。
くわでんさんがご近所だったら連日押し掛けて色々相談したいところです(笑;)

投稿: ぐりお | 2015年7月10日 (金) 17時16分

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